科学と社会の関係が変化し、科学者は自分の専門領域で研究を進めるだけでなく、社会に対して積極的にかかわることが求められるようになり、「科学者の社会的責任」についても新たな視点が求められている。「科学と価値」の問題について科学哲学でなされてきた「認知的価値」と「社会的価値」についての議論,とりわけクーンやラウダンのそれを、科学技術社会論における、ラベッツの「ポスト・ノーマル・サイエンス」や、コリンズの「科学論の第三の波」の議論と関連させて、科学と社会の関係におけるタイプの違いを区別する必要がある。「不定性」がある場合、科学においても参加型が求められ非専門家の関与がなされるが、その場合社会的価値と認知的価値を区別し、専門家の暗黙知の役割に配慮することが必要である。