抄録
自治体内の観光スポットを写した魅力的な写真を権利関係がクリアなオープンデータの形式で公開することは、民間事業者による当該自治体の観光PRを行いやすくする効果があり、これは自治体に大きな便益をもたらす。しかし、写真形式のオープンデータはテーブルデータ形式のオープンデータに比べてテンプレートや事例の蓄積に乏しく、公開までの道のりが自治体職員にとって不明瞭であるために公開が進んでいない。本研究ではこの問題を解決することを目指し、深層学習を用いて効率化した公開準備の支援手法を提案・開発した。この手法は候補写真の抽出、タイトル・タグの付与、目視確認用アプリケーション開発の3段階からなる。第一段階ではオープンデータとして公開する候補写真を選定するために、連携自治体の持つ写真全てに魅力度・類似写真グループ識別番号・顔検出結果を付与し、これらの情報を参照して膨大な保有写真全体から候補写真を絞り込んだ。第二段階では抽出した候補写真に対して大規模言語モデルを用いてタイトルとタグを付与した。第三段階では候補写真のファイルパスとタイトル・タグを紐づけてcsvファイルに保存し、それを参照するアプリケーションを開発することで、候補写真の確認・タイトル・タグの編集・リストからの削除が職員によって簡単に行えるようにした。この手法は連携自治体の職員から、抽出の有効性や目視確認の効率性に対して高い評価を得た。