科学・技術研究
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原著
新たな「コア技術見える化ツール」を用いた企業の知的財産活動支援者の教育研修方法と効果評価方法に関する研究
渡部 敏美野田 博行小野 浩幸高澤 由美
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 13 巻 2 号 p. 139-146

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抄録
本研究は、地域金融機関が企業の事業活動を支援する際、知的財産権の理解、活用が不十分であるという課題を解決することを目的とする。研究方法は知的財産権を用いて事業を行う実際の企業を研修題材とし、金融機関の職員を対象に研修を行い、その効果評価を行った。本研究の主な特徴は2つである。1つ目は題材企業のコア技術の理解促進のため、独自に考案したMarketing-Applicant(以下MA)マップというコア技術見える化ツールを用いたことである。これは題材企業の特許のステータス(有効性の進捗状態)、筆頭発明者の識別、該当市場の識別を1枚のマップで見える化することにより、コア技術を理解し易くしたものである。2つ目はコア技術の教育の日程を挟み、その前後に受講者の中間プレゼンテーション、最終プレゼンテーションを設け、2回分のプレゼンテーションの内容をテキストマイニング法で分析・比較することにより、コア技術の教育効果評価を行ったことである。研修後のアンケート結果の「MAマップはコア技術の理解に役に立ったか」という質問では受講者32人中、30人から肯定を示す選択肢に回答を得た(94 %)。受講者のプレゼンテーションでは32人で6班を構成した。コア技術の教育前と教育後において企業分析の章(ページ)で明らかな有意差があった。また6班とも教育後においては全体的にキーワードを用いる数が増加し、テーマを絞ってまとめに繋げることが出来ていた。これらのことから、6班の全てにおいて「知的財産権とコア技術の意味を理解した」ものと考えられる。
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© 2024 科学・技術研究会

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