科学・技術研究
Online ISSN : 2187-1590
Print ISSN : 2186-4942
ISSN-L : 2187-1590
原著
人工衛星マイクロ波散乱計MetOp-B/ASCATから得られる全球規模海上風速Level 2データの精度検証
鈴木 直弥西野 智也金田 啓彰
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 4 巻 1 号 p. 31-34

詳細
抄録

海上風は、大気・海洋間の運動量・熱・CO2乱流輸送における促進力として重要なパラメータである。したがって、海上風速を全球規模で精度良く観測することは重要である。そこで全球規模で海上風速を観測している人工衛星データが有用となる。人工衛星による海上風観測は、マイクロ波散乱計・放射計が用いられる。現在の最新では、MetOp-B/ASCAT(The Meteorological Operational satellite program-B/Advanced Scatterometer)がマイクロ波散乱計における全球の約8割を1日で観測している人工衛星である。しかし人工衛星マイクロ波散乱計による海上風観測は推定値であるため、常に精度検証をすることが重要である。そこで本研究では、人工衛星マイクロ波散乱計MetOp-B/ASCATの風速Level 2データをブイデータと比較することで精度検証を行った。精度比較に用いたブイデータは、TAO(Tropical Atmosphere Ocean) /TRITON(Triangle Trans-Ocean Buoy Network)ブイ(13点)、PIRATA(Prediction Research Moored Array in the Tropical Atlantic)ブイ(8点)、RAMA(Research Moored Array for African-Asian-Australian Monsoon Analysis and Prediction)ブイ(5点)、NDBC(National Data Buoy Center)ブイ(14点)である。データ使用期間は2013年の一年間とした。全球規模におけるブイ風速に対するMetOp-B/ASCAT風速のRMS差を算出した結果、1.02 m/sとなり公証測定精度2.0 m/s以内で精度が良いことが示された。5つ海域毎に分けてRMS差を算出した結果においても全ての海域で精度が良かった。また、全体的な傾向としてMetOp-B/ASCAT風速がブイ風速より大きく見積もる傾向も示された。

著者関連情報
© 2015 科学・技術研究会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top