pH応答ガラス電極は、Liを多く含む特殊なガラスからなり、一般の硬質ガラスに比べて化学的耐久性に劣る。近年、pH応答ガラス電極は、高アルカリ条件下で用いられることが多々あり、そのような条件下で使用した場合の寿命は、極めて短い。本研究では、高アルカリ溶液などの過酷な使用条件でも、長寿命で安定して測定できるpH応答ガラス電極の開発を試みた。我々は希土類元素がガラスの耐久性を向上させることを報告しており、これまでの知見をもとにランタノイド希土類元素を添加したpH応答ガラスを作製した。そして、pH応答ガラスと鉛フリーガラス支持管との接合性、pH応答性、およびアルカリ溶液における耐久性の評価を行った。その結果、pH応答ガラスに添加するランタノイド希土類元素のイオン半径が小さくなるにつれて、膨張係数が小さくなる傾向が得られ、鉛フリーガラスとの接合が容易になった。また、これらを用いた電極の感度や不斉電位などは、JIS規格を満足することが確認できた。ガラス試験片によるアルカリ耐久性を評価した結果、各元素の溶出量が従来の1/2以下という結果が得られた。さらに、電極形状にて21日間のアルカリ浸漬試験を行った結果、感度97 %以上、アルカリ誤差35 mV以内を維持した。以上の結果より、今回開発したガラスは、アルカリ用pH電極用として実用的であることが明らかになった。