科学・技術研究
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原著
全球規模での大気・海洋間運動量フラックスにおける風速変動の影響
鈴木 直弥三浦 洋貴高垣 直尚小森 悟
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2015 年 4 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

地球温暖化等の気候変動予測において大気・海洋間の運動量・熱・CO2輸送を正確に評価することは重要である。また、その中でも、大気・海洋間運動量輸送は大規模な海流、風波、高潮など様々な海水運動の駆動源となっている。大気・海洋間運動量フラックスに用いられる主なパラメータは風速データである。しかし、全球規模の風速データとしては、再解析データや人工衛星データなど時空間解像度の異なった様々なデータが多く提供されている。したがって使用する風速データの相違によって大気・海洋間運動量フラックスにどのような相違が生じるか影響を検討する必要がある。本研究では、大気・海洋間運動量フラックスを全球規模で推定し、相互比較を行うことで、どのような影響があるか検討を行った。使用した風速データは、NCEP-R1(National Center for Environmental Prediction-Reanalysis)/6時間毎、NCEP-R2/6時間毎、ECMWF-ERA40(European Centre for Medium-Range Weather Forecasts- ECMWF Reanalysis 40-years)/6時間毎、JRA-55(Japanese 55-years Reanalysis project)/3時間毎と6時間毎の再解析データ、そしてCCMP (Cross-Calibrated Multi-Platform)/6時間毎の複数人工衛星データである。データ使用期間は2001年の一年間とした。全球規模での大気・海洋間運動量フラックスの年平均を算出した。その結果、NCEP-R1、NCEP-R2、ECMWF-ERA40、JRA-55/3時間毎、JRA-55/6時間毎、CCMPはそれぞれ0.116、0.179、0.119、0.135、0.135、0.129 N/m2であり、最大で差が約54 %であった。また緯度毎に比較した結果、高緯度で大きな差を示した。時間解像度による違いは見られなかった。したがって、高風速域の高緯度で空間解像度の影響が大きいと考えられる。

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