科学・技術研究
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特集
認知症へのAssistive Technologyの援用とその根拠
Low Tech メモリーエイドなどの開発
安田 清
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2016 年 5 巻 2 号 p. 139-144

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抄録
現在の医学では、いまだアルツハイマー病などの変性型認知症の治癒はできない。そのため、さまざまな予防説や脳トレ説などが蔓延している。本稿ではまずそれらの説のほとんどがエビデンスに乏しいことを検証した。次に既存の各種療法やリハビリテーションのエビデンスも調べた。一方、認知症の本質は、昼食の内容や自宅の位置が思い出せないなど、情報の保存や回収が困難な情報障害と考えられる。視力低下者には眼鏡、歩行困難者には杖や車椅子が提供される。同様に、認知症者にも情報提供を主とした代償支援手段(Assistive Technology)による生活支援が実施されるべきである。生活全般の支援にはHigh Tech、Low Tech共に必要だが、海外ではAssistive Technologyの名のもと、High による認知症支援の動きが高まってきた。一方、Low Techメモリーエイドなどの開発や適応は、国内外でもほとんど報告されていない。筆者は過去25年にわたり、記憶障害や認知症への各種Low Techメモリーエイドの開発と、それらによる生活支援を試みてきた。本稿ではそれらを紹介するとともに、工学系の大学と共同研究をしているHigh Tech支援にも一部言及する。認知症の進行に応じて適応するエイド、機器、情報内容などを変更してゆき、生活支援、心理支援、介護者の負担軽減などを目指すことが、認知症のリハビリテーションである。残念ながら、現在このようなリハビリテーションは当院以外ほとんど行われていない。今後の普及を切望する。
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