抄録
本稿では、「3・11」以後の社会を捉えるためのアプローチとして、トゥレーヌ(派)の「アクシオンの社会学」を取り上げ、従来の行為論的アプローチと関連付けながら検討を行う。3・11以後、アクターに対するリアリティは次第に薄れていくが、学問の独自性を考えれば社会学はアクターに注目し続ける必要がある。そこで本稿では、まずアクターに焦点を置く行為論的アプローチを、客観的アプローチやア・プリオリな合理的モデルと比較しつつ紹介し、その上で、アクシオンの社会学について検討していく。アクシオンの社会学は、行為論的アプローチをさらに徹底させ、様々なものが混ざり合う社会的状況の中に、アクターの萌芽・要素を見出していこうとする。また脱近代化という時代背景をふまえ、アクターの主体性や経験の次元にも切り込んでいく。その姿勢は、「批判」や「合理性の発展」とは異なる「介入」(関与)として、社会学の有用性を提起するものであり、3・11以後の社会においても重要な役割を果たすだろう。