聖マリアンナ医科大学雑誌
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原著
幼若ラットにおけるキノロン系抗菌薬シプロフロキサシンによる関節障害の分子メカニズム
品川 文乃皆川 貴美乃西川 裕之油井 直子大沼 繁子佐々木 千鶴子高木 正之山本 仁熊井 俊夫
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2017 年 45 巻 3 号 p. 185-198

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抄録

キノロン系抗菌薬は,幼若動物において関節障害を引き起こすことが報告されており,小児に対する使用は制限されている。しかしその発症機序については未解明な部分が多い。本研究では,第二世代キノロン系抗菌薬であるシプロフロキサシンによる関節障害メカニズムの解明を目的とした。1200 mg/kgシプロフロキサシンを1日1回10日間経口投与することで関節障害を引き起こした幼若ラットの膝関節軟骨細胞では,小胞体の変性像が観察された。また軟骨細胞におけるショットガンプロテオミクス解析により,小胞体ストレス関連タンパク質である78 kD glucose-regulated protein (GRP78)が同定された。これらのことから,シプロフロキサシンによる関節障害と小胞体ストレスの関連性を検討するために,GRP78と小胞体ストレス誘導性アポトーシスに関わる転写因子のC/EBP homologous protein (CHOP)についてタンパク質発現解析を行った。その結果,シプロフロキサシン投与後の幼若ラットの関節軟骨において,対照群と比較してGRP78の発現に有意差はなく,CHOPの発現は2.2±0.32倍の増加が認められた(p<0.01)。これらの結果より,幼若ラット関節軟骨においてシプロフロキサシン投与により小胞体ストレス誘導性アポトーシスが惹起されることで,関節障害が引き起こされる可能性が示唆された。

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© 2017 聖マリアンナ医科大学医学会
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