2022 年 50 巻 3 号 p. 77-84
抗SARS-CoV-2 IgMまたはIgG抗体により,SARS-CoV-2 PCR陰性集団からCOVID-19疑い患者を検出できるかを検討した。聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院で発生したCOVID-19院内クラスターの調査被験者計266例中,PCR陰性213例から17例の有症状者に胸部CTを行い陰影を認めた9例を抽出した。SARS-CoV-2への暴露から5週,7週,11週,19週後に抗SARS-CoV-2 IgM抗体価およびIgG抗体価を測定した。抗SARS-CoV-2 IgM抗体は5週の時点で2例陽性,11週以降は全例陰性であった。抗SARS-CoV-2 IgG抗体は5週で5例が陽性,5または7週目で最大値を呈した。COVID-19の院内クラスターにおいて,PCRの結果が陰性だが有症状の場合,補助診断として抗SARS-CoV-2 IgM抗体価またはIgG抗体価測定が有用な可能性がある。