聖マリアンナ医科大学雑誌
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解説
呼吸器病センターの診療・治療(予備的研究)・取組
西根 広樹 峯下 昌道
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2024 年 51 巻 Suppl 号 p. S63-S68

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により,呼吸器病センターでは従来の体制を大きく変更する必要に迫られた。診療においては単科での対応は困難であり,全ての内科学講座(以下,内科)からなる内科のコロナチームを結成し,感染症学,救急医学,外科系の診療科と密に連携して対応に当たった。発熱患者専用の発熱外来が設置され,内科,感染症学,耳鼻咽喉科を中心に診療を行った。肺癌,びまん性肺疾患,呼吸器感染症などの診断目的に行われる気管支鏡検査はエアロゾルが発生する手技であり,検査を実施するにあたり感染予防策を再考する必要があった。基礎的検討や検査の適応基準を検討しながら従来とほぼ同等の件数を実施した。呼吸器疾患は重症化のリスクであり,外来通院の差し控えや治療内容の変更などの影響があった。診断の遅れで患者の予後に影響が極力出ない様に配慮して診療を継続した。また重症のCOVID-19患者を中心にコロナ後遺症外来を開始した。研究では気管支鏡検査時のエアロゾル対策を考えるための基礎的検討を行い,コロナ流行期における気管支鏡検査時の感染予防策を実施した。また複数の臨床研究に参加し,得られた知見を学会や誌上で報告した。さらにコロナ流行下における呼吸器診療について,学会や研究会を通じた啓蒙活動や病診連携も積極的に行った。

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