2009 年 22 巻 2 号 p. 199-203
耳下腺腫瘍では術前に良悪の鑑別や, 悪性の場合には悪性度が問題となる.
今回, 我々は耳下腺腫瘍症例の病理検査とMRI画像所見, および見かけの拡散係数 (ADC) 値との関連を検討し, 耳下腺腫瘍の術前診断への有用性を検討した.
耳下腺腫瘍81症例を対象として, 病理組織, MRI, 拡散強調画像におけるADC値を検討した.
ADC値は, ワルチン腫瘍と癌のADC値は, 多形腺腫のADC値の平均値と比較し, 有意差を認めた. 癌を悪性度に分けてみると, ADC値が1.0未満の低値の症例は, 高悪性度では4例中3例で, 多形腺腫では18例中1例であった. 多形腺腫と高悪性度群の癌との術前の鑑別には有用であると思われた.