口腔・咽頭科
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原 著
被膜内に限局したSalivary duct carcinoma ex pleomorphic adenomaの1例: 悪性転化の過程についての考察
川野 利明上村 尚樹鈴木 正志
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2010 年 23 巻 2 号 p. 183-188

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抄録

Pleomorphic adenoma (PA) より発生したSalivary duct carcinoma (SDC) でin situ (mixed) typeに分類される症例を経験したため文献的考察を加え報告する. 患者は60歳, 女性, 主訴は右耳下部腫脹であった. 病理学的には腫瘍内に2つの組織像を認め一方はPAの像であり, 他方はSDCの像であった. 耳下腺腫瘍は完全に被膜に覆われており, 内部にPAの組織に腺腫成分からSDCへの移行部分が観察され, SDC ex PAとの診断であった. 大内ら13 はSDC ex PAにおける悪性転化の過程としてin situ (mixed) type, de novo-like type, invasive typeの3つを報告している. 本症例はin situ (mixed) typeであり進展度が低いうちに摘出できたものと思われた. 予後に関しては今後厳重な経過観察を要するが, 高悪性度群に分類されるSDC ex PAを病理組織学的にも早期摘出できたことの裏付けができたものと考えられた.

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© 2010 日本口腔・咽頭科学会
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