口腔・咽頭科
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原 著
頭頸部癌の上頸部郭清時に下顎後静脈を利用した顔面神経同定法の有用性の検討
横山 純吉伊藤 伸大峡 慎一春山 琢男藤巻 充寿池田 勝久花栗 誠
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2010 年 23 巻 2 号 p. 195-199

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抄録

頭頸部進行癌の治療は予後の向上と機能温存が重要である. 顔面神経周囲に腫瘍の浸潤がある場合, 同神経を同定し確実に腫瘍を切除することが予後の向上と機能と整容性の温存に重要である. 目的) 頭頸部癌の上頸部郭清時に下顎後静脈を利用した顔面神経同定法の有用性を検討する. 対象) 2006年8月より2008年9月に上頸部郭清時に下顎後静脈の交差部で顔面神経を同定した59例である. 口腔癌24例, 耳下腺癌10例, 顎下腺癌6例, その他19例であった. 新鮮例26例, 再発例33例であった. 方法) 外頸静脈を温存し, 耳下腺内に約2cm切離し同神経を同定した. 上頸部郭清時の場合は末梢に追跡し, 郭清した. 耳下腺深部の郭清や耳下腺全摘時には中枢側へ進め本幹を剖出した. 結果) 全例で顔面神経は同定可能であった. 結論) 上頸部郭清時に下顎後静脈を利用した顔面神経同定法は巨大な癌や再発癌で顔面神経下顎縁枝同定の困難な場合, 特に有用であった.

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© 2010 日本口腔・咽頭科学会
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