抄録
Submental Island Flapは, オトガイ下動静脈を栄養血管とするaxial patternの皮弁であり1990年にMartinらによって報告された. 同皮弁の代表的な利点は, 皮弁の採取が容易, 皮弁の大きさの調整が容易, 長い栄養血管の確保が可能, 術創が一期的に閉創可能等である.
2009年3月から5月に中・下咽頭癌4症例に対して同皮弁を用いて咽頭再建を施行したので報告する. 中咽頭癌の1例で両側のオトガイ下動脈を栄養血管として再建した. 1例で皮弁の部分壊死を認めたが, 顔面神経下顎縁枝の麻痺等の合併症は認めなかった.
同皮弁は, 中・下咽頭癌症例の咽頭再建において確実かつ自由度が高く, 採取が容易な点から優れた皮弁の一つであると考える.