2014 年 27 巻 1 号 p. 17-24
IgA 腎症は最も高頻度な糸球体腎炎で, 本邦の腎生検の約1/3が IgA 腎症と診断される. 腎生検後20年で約20-40%の症例が末期腎不全に陥る. 口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス併用療法 (扁摘パルス療法) は本症の尿所見を改善し, 腎機能障害の進行を抑制する可能性が本邦を中心として多数報告され, さらにランダム化比較試験にて, 扁摘パルス療法はステロイドパルス単独療法より尿蛋白減少効果に優位性を認めた. また口蓋扁桃を中心とする粘膜免疫異常は糖鎖異常 IgA1 の増加, 糖鎖異常 IgA1 特異的抗体形成への関与が示唆され, 扁摘パルス療法の根拠として注目されている.