口腔・咽頭科
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扁桃におけるユニークな抗原提示細胞
名倉 宏安藤 紀昭大谷 明夫
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2000 年 12 巻 2 号 p. 147-151

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抄録

扁桃は, 口腔や鼻腔より侵入する抗原を摂取し, その抗原情報を認識し, それらの抗原侵襲から生体を防御することを主要な機能としている.口蓋扁桃の陰窩は粘膜表面から洞状に陥凹, 分岐することにより, 広い面積で抗原と接触し, それらに対する能率的な免疫反応を誘導することが, 想像されている.陰窩を被覆する上皮細胞は網目構造をとり, その間に多数のT, Bリンパ球が介在していて, リンパ上皮共生関係にある.この上皮細胞には.リンパ装置の濾胞域の樹状細胞と類似した細胞膜抗原 (MHC class II抗原, DC54, CD106, CD21, CD80/86) が発現されている.これらのことから陰窩上皮細胞は, 陰窩の抗原を摂取し, 抗原提示とT細胞の活性化, B細胞の分化とclonal expansion, 成熟を司っているものと考えられる.

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