口腔・咽頭科
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咽後膿瘍との鑑別を要した咽頭後部病変の2症例
石灰化頸長筋腱炎・化膿性頸椎炎
梅木 寛道津 充小室 哲中尾 善亮
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2004 年 16 巻 3 号 p. 345-349

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抄録

我々は, 咽頭後壁の膨隆・発赤を認め, 咽後膿瘍が疑われたが, 画像検査により除外された2症例を経験した.石灰化頸長筋腱炎とは原因不明のハイドロキシアパタイトの沈着による, 消炎鎮痛剤などの投与により1~2週間で軽快する予後良好の急性炎症疾患である.今回の症例でも経過観察のみで軽快した.画像所見では頸椎単純写真上, 第2頸椎椎体前方軟部組織の石灰化が特徴である.化膿性頸椎炎は化膿性脊椎炎の頸椎部病変である.発生頻度は全体の5~15%程度であるが, 急速に進行する四肢麻痺などの神経症状を伴う事が多い.今回の症例でも強力な消炎治療を行っていたが, 両上肢の麻痺が出現したため, 当院整形外科にて膿瘍切開排膿と椎間板の掻爬を施行した.画像所見では頸椎単純写真上,(初期変化は) 乏しいが, 急速な増悪を認める.今回の症例でも発症から3週間弱の手術の段階で, 頸椎椎体の一部破壊を伴っていた.
咽後膿瘍も含めた疾患の診断及び治療の方針を決定するためにはCTが必要となるが, 膿瘍か腫瘍の確認のためには, 可能であれば造影CT又はMRIまで施行した方がより正確な診断となり, 治療においても有用と考えられた.

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