口腔・咽頭科
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Mycobacterium fortuitumが検出された小児咽後膿瘍の1例
田中 克典古謝 静男東野 哲也
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2005 年 17 巻 3 号 p. 367-371

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抄録

咽後膿瘍は, 近年抗生剤などの化学療法の発達によりその数が減少しているとされるが, ステロイドや免疫抑制剤投与, 糖尿病などの免疫抑制状態にある患者の合併症として, 現在でも重要な疾患である.
今回我々は, 10歳の男児で, 自己免疫性肝炎のため, ステロイド, 免疫抑制剤使用中に咽後膿瘍を合併し, その膿からMycobacterium fortuitumという非定型抗酸菌を検出した症例を経験したので報告する.
Mycobacterium fortuitumによる咽後膿瘍は, 我々が確認できた限りでは報告が無いが, 本は薬剤感受性が低く, 日和見感染症の原因となりうる為, 今後このような症例も増加する可能性があると考えられる.その際には, 迅速な切開排膿, それから得られる薬剤感受性をもとに抗菌剤を選択することが重要である.

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