1995 年 7 巻 2 号 p. 109-115
扁桃でのウイルス感染に対する免疫応答について以下の検討を行った.(1), 扁桃細胞にin vitroでRSウイルスを接種したところ, 種々のサイトカインの産生が認められた.これらのサイトカインはウイルス感染に際し生体防御に働くことが示唆されるが, 多量のウイルス接種にては扁桃細胞にアポトーシスがみられた.その機序の一部にはサイトカインの関与も示唆された.(2), PCR法により, 肥大を示す扁桃では高率にEBウイルスゲノムが確認された.EBウイルスによるアポトーシスの障害が扁桃肥大を生じている可能性をLMP-1の構造遺伝子の変化から検討したが, 扁桃肥大に特有な変化は認められず, 今後は機能発現の面から検討が必要である.