口腔・咽頭科
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7 巻, 2 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 岡本 美孝
    1995 年 7 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    扁桃でのウイルス感染に対する免疫応答について以下の検討を行った.(1), 扁桃細胞にin vitroでRSウイルスを接種したところ, 種々のサイトカインの産生が認められた.これらのサイトカインはウイルス感染に際し生体防御に働くことが示唆されるが, 多量のウイルス接種にては扁桃細胞にアポトーシスがみられた.その機序の一部にはサイトカインの関与も示唆された.(2), PCR法により, 肥大を示す扁桃では高率にEBウイルスゲノムが確認された.EBウイルスによるアポトーシスの障害が扁桃肥大を生じている可能性をLMP-1の構造遺伝子の変化から検討したが, 扁桃肥大に特有な変化は認められず, 今後は機能発現の面から検討が必要である.
  • 橋口 一弘, 小川 浩司
    1995 年 7 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    C.pneumoniaeおよびC.trachomatisによる咽頭炎, 扁桃炎について症例を呈示し, クラミジア感染症についての診断方法について概説した.また東京近郊在住の健康人についてC.pneumoniaeおよびC.pneumoniaeに対する血清IgG抗体を測定し, 抗体保有率を示した.さらに咽頭炎, 扁桃炎患者での血清抗体価よりクラミジア感染の現況を示した.5種類の薬剤についてのMICの測定結果を示し, クラミジア感染症の治療について概説した.
  • 中山 明仁, 設楽 哲也, 高橋 廣臣, 斉藤 大
    1995 年 7 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    過去20年間に北里大学病院耳鼻咽喉科を受診した口腔癌患者新鮮例160例を対象とした.臨床学的検討 (患者の病悩期間, 病期分類等) とアンケート調査を施行した.加齢現象には個人差がある.口腔癌自体にもかなり個人差 (個人的特徴) がある.口腔癌患者の治療, 管理については個々の症例に応じて対応をすることが重要と思われた.
  • 伊藤 博隆, 馬場 駿吉
    1995 年 7 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    唾石をレーザービームによって破砕することを患者にたいして試みた.唾石の吸収ならびに反射の波長から波幅1.4μm波長504nmをもった衝撃色素波レーザーによって破砕行った.そのために唾石観察のための新しい内視鏡をつくり, この方法に用いた.この破砕は顎下腺の唾石症の6名の患者に行った.内視鏡のモニターの観察下にレーザーの衝撃を唾石破砕のために照射した.1例において完全に破砕し, 除去に成功し, その他の症では40~70%に破砕ができ, 唾液の流出が認められた.この方法は内視鏡下に唾石を破砕する新しい方法で, 局所麻酔下に行うため外来患者に対しても負担をかけなく安全に行える.
  • 老木 浩之, 山本 悦生, 村田 清高
    1995 年 7 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    口腔内諸症状を訴え, 口内乾燥の原因となり得る背景を除外した53例で, 唾液分泌能の加齢による変化を検討した.唾液分泌能の測定には, 安静時の取り込み率と刺激時の分泌率をテクネシウム・シンチグラムの動態曲線から算定した.男性例は6例と少なく, 加齢による変化は検討できなかった.女性47例を4つの年代に分けて, 各年代の唾液分泌能を比較した.耳下腺唾液分泌能は, 加齢により徐々に低下した.顎下腺では加齢による変化は認められなかった.耳下腺と顎下腺で加齢による変化が異なることが示唆された.女性ホルモンに対する反応の違いが耳下腺, 顎下腺の加齢による唾液分泌能の変化め有無を生じさせている可能性について考察した.
  • 佐内 明子, 工藤 典代
    1995 年 7 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    小児の日常診療上, 上咽頭高圧撮影を行う機会は多い.今回, 簡便に睡眠時呼吸障害 (SA) の手がかりを得ることを目的に, レ線上で見られた扁桃陰影を, 臨床症状およびMackenzie分類での扁桃肥大度と比較検討した.Apnea Index5.0以上の閉塞性無呼吸があり, 当科で扁桃摘出術を施行した3歳から7歳までの患児10例 (SA群) を, SAのない同年代の患児5例 (non-SA群) と比較すると, 以下の所見が多く認められた.1.扁桃肥大III度, 咽頭反射で左右の扁桃が接する, 2.いびき, 嚥下障害を訴える, 3.レ線上, 扁桃下端陰影が喉頭蓋先端の尾側に有り, 扁桃と咽頭後壁との間隙が4mm以下である.
  • 田畑 邦次, 三好 京子, 松谷 幸子
    1995 年 7 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1990年2月より, 1994年1月までに当科にて扁摘を施行したIgA腎症患者100例について術後の6ヵ月の尿所見を検討した.尿蛋白のremission rateは63%, 尿潜血のremission rateは34%であった.腎病理が中程度までの症例, 発病から扁摘までの期間が短い症例ほど尿蛋白のremissionrateが高く, 扁桃が大きいほど, 尿蛋白・尿潜血ともにremission rateが高かった.
  • 鹿島 直子, 磯脇 純和, 上村 祐一, 宮崎 康博, 内山 博子, 松村 益美
    1995 年 7 巻 2 号 p. 157-165
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    急性扁桃炎から扁桃周囲膿瘍, 咽後膿瘍, 縦隔膿瘍を発症し, さらに急性呼吸不全, 多臓器不全へと発展したが, 回復させることが出来た症例を報告した.重症化の原因は患者の全身的防御機能の低下と初期治療に使用した抗生剤が嫌気性菌を制圧し得なかったことによると考えた.救命し得た要因は, 積極的な外科処置 (感染巣の切開開放や気管切開等), 抗生剤の変更 (CLDM, CAZ, IPM/CS) と適切な全身管理 (スワンガンツ・カテーテルの挿入によって循環動態の評価をしつつ人口呼吸管理をする, 時宜を得た血液透析の導入等) によるものであった.おのおの細分化された専門医師の集合による集中治療の意義を再認識した症例であった.
  • 北奥 恵之, 西村 明子, 米山 恵嗣, 山本 俊宏, 成尾 一彦, 松永 喬
    1995 年 7 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    成人25例で40μAの電気味覚刺激によるCNVを測定した.検査に協力的な条件下では, CNVの後期成分は全例に, 警告刺激である電気味覚刺激によって誘発されるP300はFzとCzでは約70%に, Pzでは92%に認められた.CNVの初期成分では約30%だった.次に, 警告刺激を無視し命令刺激である音刺激にのみ反応してボタン押しをする命題を行った.あらかじめP300を認めた9例中8例で振幅は小さくなるものの警告刺激でP300が認められた.残り1例では測定中の原波形ではP300らしき誘発電位を認めた.このように, 電気味覚刺激によるP300を指標にすることで他覚的検査として評価できた.CNVの初期成分や後期成分も補助的診断に役立った.
  • 藤原 裕樹, 垣鍔 典也, 貞岡 達也, 金井 龍一, 林 伊吹, 高橋 宏明
    1995 年 7 巻 2 号 p. 173-180
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    睡眠時呼吸障害患者における睡眠中の上気道狭窄の原因の一つとして, 覚醒時の潜在的な上気道狭窄が考えられている.
    そこで, 今回我々はこれを確かめるために, 中咽頭計測法を利用して正常者, 食道内圧低値の睡眠時呼吸障害患者, 及び食道内圧高値の睡眠時呼吸障害患者の3者間で解剖学的差異を検討した.
    その結果, 正常者と睡眠時呼吸障害患者との間には解剖学的差異が認められた.また, 覚醒時の口峡が狭小な程, 睡眠時呼吸障害が重症である可能性が示唆された.
    従って, 覚醒時の口峡形態が睡眠中の上気道狭窄に影響を与える可能性は高いと思われた.
  • 仰臥位と側臥位の比較
    板坂 芳明, 宮崎 総一郎, 山川 浩治, 多田 裕之, 戸川 清
    1995 年 7 巻 2 号 p. 181-189
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    閉塞性睡眠時呼吸障害55症例において, 睡眠時呼吸障害に対する体位変換の効果について検討した.睡眠ポリグラフ検査は, 睡眠薬zopicloneを用いて日中に行われた.上気道圧値 (上咽頭圧, 中咽頭圧, 下咽頭圧, 食道内圧) は, 圧センサーを配したカテーテルにて測定され, それらの圧差により閉塞部位が推定された.仰臥位に対する側臥位での食道内圧変動値の改善度により, 全症例を3群 (good, poorおよびno responders) に分類した.good responders群は他の群に比較して肥満度が小さく, 狭窄, 閉塞部位は1箇所の症例が多かった.そこで, 体位変換による睡眠時呼吸障害の改善度は, 肥満の程度と上気道の狭窄, 閉塞部位により影響されることが示唆された.
  • 余田 敬子, 北嶋 整, 上田 範子, 宮野 良隆, 荒牧 元, 笠島 武
    1995 年 7 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1990年11月から1994年3月の間に, 急性ウイルス性扁桃炎を疑った19例 (男性9例, 女性10例, 平均年齢24.5歳) に対し, 免疫組織化学によって病原ウイルスの検出を試みた.患者から生検した扁桃組織を用いて病理組織学 (HE染色) 的変化を観察し, 免疫組織化学ABC法 (一次抗体: 抗HSV1および2monoclonal抗体, 6種類の抗EBV抗体) にてウイルス抗原の有無を検討した.病理組織学的変化としてHSV感染症を疑わせる核内封入体を2例に認め, 免疫組織化学ではHSV1は3例, HSV2は1例, EBVは4例が抗原陽性であった.患者のペア血清抗体価と今回の結果を比較し, 急性扁桃炎における免疫組織化学的検索の有用性を考察した.
  • 小島 未知郎
    1995 年 7 巻 2 号 p. 199-204
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    従来扁桃誘発試験におけるパラメータの陽性判定基準はたとえば「赤沈9mm以上の亢進」といった表現で行われてきた.しかし, このような表現は「扁桃の局所病巣の程度と扁桃誘発試験におけるパラメータの変動は比例する」という仮説なしには成立しないはずである.われわれは極超短波間接照射法による扁桃誘発試験におけるパラメータの適否について統計学的に検討した.対象としたパラメータは体温・赤沈・白血球数である.この結果, 体温と赤沈は一部の二次疾患において意義があったが, 従来もっとも変化しうるとされてきた白血球数はほとんどの疾患で有意ではなかった.扁桃病巣感染の診断法の研究において, 扁桃誘発試験のパラメータを厳密に検討することが必要である.
  • 田中 文顕, 定永 恭明, 鮫島 靖浩, 石川 障
    1995 年 7 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    睡眠時無呼吸, いびきに対する外科的治療では, その適応を決定する際に障害部位の診断が大変重要である.我々は睡眠時呼吸障害患者25例に対し経鼻的内視鏡下薬物睡眠検査にて術式の選択および治療効果の診断を行った.このうち18例を口峡閉塞型無呼吸と診断しUPPP: Uvulopalatopharyngoplastyをおこなったところ軟口蓋が障害の中心となり咽頭後壁とくっつくようにして閉塞をおこすタイプ (前後型) と比較して, 咽頭後壁が障害部位となっているタイプ (左右型) でのUPPPによる改善度が低かった.左右型にはUPPPに加え咽頭後側壁の処理を行うことで治療成績が改善した.
  • in situ hybridizationによるHPVDNAの検出
    中澤 詠子, 甲能 直幸, 楠 正恵, 中村 昇太郎, 西谷 全弘, 市川 銀一郎
    1995 年 7 巻 2 号 p. 211-219
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    過去17年間において経験した, 口腔・咽頭乳頭腫49例について, 統計的に観察を行い, 併せてHPVDNAの検出と細胞増殖因子であるTGPα, β の検索を行った.
    再発は3例 (6.1%), そのうち1例 (2.0%) は5年後の病理組織診断では白板症で, 1例はOFP (Oral Florid Papillomatosis) から扁平上皮癌に悪1生化したと考えられた.
    HPVDNAが検出されたのは2例 (4.1%) であったが, 型決定はできなかった.口腔・咽頭乳頭腫では, 喉頭や鼻・副鼻腔乳頭腫に比べてHPVの関与している可能性は低いのではないかと思われた.
    TGF-α は, HPVDNA検出例, および悪性化例において強い染色性を呈したが, TGF-β はいずれも染色性が低く, パラフィンブロックからの検出は難しいと思われた.
  • 渡辺 周一, 小倉 肇, 富永 進, 福島 邦博, 増田 游
    1995 年 7 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    口腔・咽頭領域の7例の扁平乳頭腫と1例の尖圭コンジローマ症例についてヒトパピローマウイルスDNAの検出を行った.方法はサザンプロット法により, 非ストリンジェントな条件下にHPV 2a, 5b, 6b, 11, 16, 18, 57, 58型プローブを使用した.HPVDNAは扁桃尖圭コンジローマにおいて検出されたが扁平乳頭腫7例からは検出されなかった.コンジローマ例のDNAの各種制限酵素による切断パターンからHPVの型は6型と確認された.
    この結果から, HPVは扁平乳頭腫より尖圭コンジローマにおいてより密接にその発生に関与することが示唆された.口腔・咽頭乳頭腫におけるHPVの発生的関与は一様でないため, 両乳頭腫を乳頭腫として一括することなく, 組織学的に分類することが不可欠であると考える.
  • 石田 春彦, 天津 睦郎, 佐古田 美佳
    1995 年 7 巻 2 号 p. 227-232
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    4歳, 男児の意識障害を伴った睡眠時無呼吸症候群の一例を報告した.
    患児は2年間の睡眠時無呼吸の病歴があり, 、某耳鼻咽喉科で診察中に意識障害と無呼吸をおこし, 気管内挿管を施行されて当科へ緊急入院した.アデノイドが著明に肥大し後鼻孔を閉塞しており, また口蓋扁桃はII度肥大であった.アデノイド切除術, 口蓋扁桃摘出術を行ったが, 術後も呼吸状態は改善しなかった.中枢性要因の関与も疑い検査を施行したが, 本症例の呼吸不全を裏ずける所見は得られなかった.しかし本症例の呼吸不全は閉塞型睡眠時無呼吸では説明できない部分もあり, 長期間にわたる呼吸不全による中枢の化学受容器の感受性低下も考えられた.
  • 工藤 典代, 佐内 明子
    1995 年 7 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    睡眠時呼吸障害の保存治療のひとつにnasalCPAPがある.今回, 心不全を伴った重症の睡眠時呼吸障害の小児の術前にnasalCPAPを応用し, 著明な効果が得られたので報告した.
    症例は, Laurence-Moon-Biedle症候群の7歳男児で, 高度の肥満を伴い, アデノイドおよび扁桃の高度肥大があり, 閉塞性の睡眠時呼吸障害が認められた.
    外来初診時, 呼吸が停止しSpO2が25%以下に低下, 救急処置を行った.CTRは77%であり心不全を伴っていた.即, ICUに入院し, nasal CPAPを行ったところ, 睡眠中の呼吸障害は消失し, SpO2は90%以上に保たれた.Room airで1週間後にはCTRは60%となり, アデノイド, 扁桃摘出術が安全に施行できた.術後はnasal CPAPを行わなくても睡眠時呼吸障害は消失し, 経過は良好である.
  • 大西 将美, 鈴木 智雄, 澤井 薫夫, 水田 啓介, 伊藤 八次, 宮田 英雄
    1995 年 7 巻 2 号 p. 239-243
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は25歳の頸捻転時に右前頸部の異常音発生と左前頸部の疼痛とを主訴とする男性である.異常音発生時の頸部X線透視検査をVTR撮影下に観察することによって, その機序が右舌骨大角と第3頸椎横突起との摩擦によるものであることを解明し, 左前頸部の疼痛は周囲軟部組織への刺激により生ずるのであろうと考えた.また, 解剖学的位置関係を立体的に知るために3D-CT撮影を行い, 治療を考える上で有用であった.治療としては両側舌骨大角の一部を切除し, 術後嚥下困難等の合併症もなく良好な経過を得ている.
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