1995 年 7 巻 2 号 p. 211-219
過去17年間において経験した, 口腔・咽頭乳頭腫49例について, 統計的に観察を行い, 併せてHPVDNAの検出と細胞増殖因子であるTGPα, β の検索を行った.
再発は3例 (6.1%), そのうち1例 (2.0%) は5年後の病理組織診断では白板症で, 1例はOFP (Oral Florid Papillomatosis) から扁平上皮癌に悪1生化したと考えられた.
HPVDNAが検出されたのは2例 (4.1%) であったが, 型決定はできなかった.口腔・咽頭乳頭腫では, 喉頭や鼻・副鼻腔乳頭腫に比べてHPVの関与している可能性は低いのではないかと思われた.
TGF-α は, HPVDNA検出例, および悪性化例において強い染色性を呈したが, TGF-β はいずれも染色性が低く, パラフィンブロックからの検出は難しいと思われた.