1995 年 7 巻 2 号 p. 227-232
4歳, 男児の意識障害を伴った睡眠時無呼吸症候群の一例を報告した.
患児は2年間の睡眠時無呼吸の病歴があり, 、某耳鼻咽喉科で診察中に意識障害と無呼吸をおこし, 気管内挿管を施行されて当科へ緊急入院した.アデノイドが著明に肥大し後鼻孔を閉塞しており, また口蓋扁桃はII度肥大であった.アデノイド切除術, 口蓋扁桃摘出術を行ったが, 術後も呼吸状態は改善しなかった.中枢性要因の関与も疑い検査を施行したが, 本症例の呼吸不全を裏ずける所見は得られなかった.しかし本症例の呼吸不全は閉塞型睡眠時無呼吸では説明できない部分もあり, 長期間にわたる呼吸不全による中枢の化学受容器の感受性低下も考えられた.