日本水産学会誌
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数種有機酸塩が示したスルメイカ肉の自己消化抑制作用による加熱ゲル形成能の向上
桑原 浩一大迫 一史今野 久仁彦
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2004 年 70 巻 6 号 p. 922-927

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抄録

クエン酸Na, 酒石酸Naおよびグルコン酸Naが, イカ肉の加熱ゲル形成能に及ぼす影響を検討した。これらの添加により, ミオシンの分解が抑制され, 高い破断強度が得られた。また, 3種の中ではクエン酸Naが最も高い効果を示した。金属プロテアーゼが作用していると考えられる5℃において, 3種の有機酸Na塩は, EDTAと同等の抑制作用を示した。クエン酸Naは, 35℃に保持した場合においても, EDTAとPMSFを加えセリンプロテアーゼも抑制した場合と, 同程度の抑制作用が認められた。それゆえ, 各種プロテアーゼを含むイカ肉加熱ゲルの物性を向上するには, クエン酸Naが非常に効果的な添加物であると判断した。

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© 2004 公益社団法人 日本水産学会
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