ツキヒガイ外套眼の光受容特性の解明を目的として大小 2 種の外套眼を組織解剖学的に調べ,更に網膜電図(ERG)によって分光応答特性と臨界融合周波数(cff)を調べた。外套眼は細胞レンズや視細胞をもち,その構造はホタテガイのものと類似した。分光応答特性は,大小 2 種の外套眼ともに 470~520 nm の波長にピークがみられた。cff は 1.3 Hz~1.5 Hz の間にあり,魚類の cff と比較して極めて低かった。この cff から,ツキヒガイ外套眼はゆっくり動く物体や陰影の認識に関係すると推察された。