抄録
岩手県沿岸に分布するヒラメ資源について,VPA を用いて 1990 年から 2004 年までの資源量を推定した。天然魚の資源量は 65~252 トンで変動し,2002 年以降減少傾向を呈した。放流魚の資源量は 8~63 トンで変動し,種苗放流の事業化開始以降低水準で推移していた。放流魚の資源添加効率は放流数の増加に伴い低下する傾向が認められ,放流魚の生残に放流数が関連している可能性が示唆された。天然魚の加入量は再生産成功率に依存して変動し,浮遊期にあたる 7 月の沿岸域おける水温条件の影響を強く受けると推察された。