2007 年 73 巻 1 号 p. 62-68
和歌山県沿岸の魚類養殖漁場における海底堆積物の化学的特性を,非魚類養殖漁場のものと比較・検討した。化学的酸素要求量,全有機態炭素量,全窒素量及び C/N では魚類養殖漁場と非魚類養殖漁場との間に明確な差はみられなかった。一方,全リン量は魚類養殖漁場で高く,それに伴い C/P 及び N/P が低い傾向を示した。特に養殖漁場ではカルシウム結合型リン含量が極めて高い傾向(1 mg g-1 以上)を示した。従って,堆積物中の全リン量及び組成は,魚類養殖による有機物負荷の影響範囲を知る有効な指標となると考えられた。