日本水産学会誌
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卵巣の組織学的観察による中西部熱帯太平洋におけるカツオの成熟と産卵生態の推定
芦田 拡士田邉 智唯鈴木 伸洋
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2007 年 73 巻 3 号 p. 437-442

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抄録

中西部熱帯太平洋における本種の卵巣組織観察から,成熟と産卵生態を推定した。半数成熟体長は 47.9 cm で,核移動期をもつ個体は 15-21 時に採集されたものに限られた。同一の生殖腺指数(GI)階級において成熟段階の異なる個体が存在することから,GI は卵巣成熟度を正確に反映できないと推察した。成熟個体の卵巣は常に周辺仁期が約 80% 以上を占めており,卵黄球期以降の卵母細胞は 5~10% であった。周年に亘り大半の成熟個体が産卵段階,産卵移行段階であり,産卵停止段階の出現が少なく,周年産卵を行うと推察した。

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© 2007 公益社団法人 日本水産学会
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