2008 年 74 巻 1 号 p. 66-74
80℃ で 20 分間煮熟して凍結乾燥後,粉砕したスルメイカ外套膜筋肉から水溶性成分を除去した標品では,35℃ 貯蔵中の褐変はほとんど認められなかったが,クロロホルム-メタノール混液(1:1)で脂溶性成分を除去した標品は著しく褐変した。過塩素酸処理した水溶性成分が単独で強く褐変したことから,原因物質は水溶性低分子成分と推定された。主要な低分子水溶性成分の還元糖とアミノ酸類を添加する実験で,グルコース 6-リン酸とリボースは著しく褐変を促進したが,イカ乾製品に特徴的な褐変を促進したのはリボースであった。