2008 年 74 巻 3 号 p. 412-420
クサカリツボダイは中部北太平洋に散在する海山に広く分布し,底曳き網で漁獲されているが,系群構造については明らかになっていない。そこで,PCR-RFLP 分析により mtDNA の地理的変異を検討した。D-Loop 領域を PCR 法にて増幅し,16 種類の制限酵素で RFLP 分析を行った。8 種類の酵素で切断片長多型が得られたが,切断型頻度に地理的な違いは見られなかった。切断型から求めたハプロタイプの出現頻度も,地理的な違いは見られず,クサカリツボダイは太平洋全体で大きな一つの集団を構成していると考えられた。