2008 年 74 巻 6 号 p. 1043-1051
燧灘・備後灘においてマクロベントスとメイオベントスの量的,質的変化と底質環境の関係を検討した。東部燧灘では高い有機物濃度を示し,一部の海域では夏季における貧酸素化が認められた。多毛類では底質への適応能力の高い Sigambra tentaclata が燧灘全域に多く出現した。メイオベントスの有機汚染指標である nematode/copepod 値は 1 定点を除いて 100 以下を示し,低めに推移した。顕著な有機汚染の特徴は認められないことから,20 年前に比べて底質環境は改善傾向にあると考えられた。