琵琶湖におけるニゴロブナの種苗放流効果を評価するため,条件を変えて放流し,刺網で再捕された ALC 標識魚を調査した。回収率と費用便益比(B/C)は 6 月の大規模ヨシ帯への体長 16.5 mm 仔稚魚放流が 9.6% と 12.0, 10 月の沖合への 83.9 mm 稚魚放流が 12.7% と 2.2 と高く,ヨシ帯外への仔稚魚や沖合への 58.8 mm 以下稚魚の放流の B/C は 1.0 未満であった。本種資源の増大には減少したヨシ帯の回復が不可欠で,当面の補完策としてヨシ帯に依存しない約 85 mm 稚魚の沖合放流が重要と考えられた。