2015 年 81 巻 5 号 p. 803-810
クエは冬季の低水温期に成長停滞が起こるため,出荷サイズまでに 3 年以上の飼育期間を必要とし,これがクエ養殖の普及を妨げる要因の一つである。多くの海産魚では,低塩分海水での飼育により成長量の増大が起こる。本研究はクエ稚魚の成長量に対する飼育塩分の効果を一般化線形モデル(GLM)により評価した。その結果,塩分 34 psu と比較して,給餌条件では塩分 17 psu での飼育によりクエ稚魚の成長量の増大が起こり,また無給餌条件では塩分 10 psu での飼育により体重の減少量を低下できることが明らかとなった。