2017 年 83 巻 4 号 p. 616-624
若狭カレイの品質に及ぼす低温乾燥の重要性を検証する目的で,塩漬したヤナギムシガレイの乾燥歩留まりの低下に伴う筋肉中の水分と呈味成分および筋原繊維タンパク質(Mf)の変化を検討した。その結果,温度にかかわらず水分の蒸発は主に魚体表面で起こり,それに比べて筋肉中の水分の低下は非常に少なかった。また20℃以下の乾燥は筋肉中のIMPの分解とMfの変性を抑制した。さらに歩留まり85%まで乾燥した場合の筋肉の保水性は4℃乾燥が最も高く,これには食塩の浸透によるMfのNaCl溶解性の低下が寄与した。