2018 年 84 巻 5 号 p. 858-871
適切な管理の下での希少魚を対象とした遊漁は,遊漁者の消費を通じて希少魚を保全する社会的・経済的根拠を強める。本研究では,北海道然別湖におけるミヤベイワナ遊漁と,朱鞠内湖におけるイトウ遊漁において,遊漁者の消費実態を明らかにした。どちらの湖ともに,全国各地から遊漁者が訪れていた。遊漁者がそれぞれの湖で釣りをするために消費した金額は,然別湖では年間3,328万円,朱鞠内湖では4,156万円と推定された。このうち,交通費以外はほぼすべて遊漁料や宿泊滞在費として釣り場近隣地域で消費されたと考えられた。