2021 年 87 巻 6 号 p. 679-684
カビ毒による水産飼料の汚染実態を調査するため,水産飼料中のトリコテセン系カビ毒10種を対象とした一斉分析法を検討した。多機能カラム及びグラファイトカーボンカラムにより精製効果の高い前処理法を構築し,UHPLC用のC18カラムを用いることで高速かつ頑健性の高い分析法を確立した。本分析法を市販の水産飼料に適用したところ,多くの飼料からデオキシニバレノールやモディファイドマイコトキシンなど数種のカビ毒が検出された。これらにはいずれも小麦粉が配合されており,原材料である小麦粉の汚染の可能性が示唆された。