2024 年 90 巻 2 号 p. 125-133
麻痺性貝毒で毒化したアカガイ,トリガイの毒化初期と後期の部位別毒量,毒成分を調査した。筋肉,外套膜・貝柱,鰓,内臓を分析した結果,麻痺性貝毒はアカガイでは全部位に分布し,鰓以外の部位で多い一方,トリガイでは鰓と内臓で多く筋肉では極めて少なかった。毒成分割合は両種でGTX2, 3が高かったが,アカガイでは毒化前期にも内臓以外でSTXが高い傾向がみられた。以上からアカガイでは毒成分が早期に内臓から全体に拡散しSTXへの変換が進むのに対し,トリガイでは毒の移行は内臓から鰓にとどまることが推察された。