論文ID: 23-00058
2020年の宇和島湾において,観測史上最も遅い9月上旬から11月中旬にかけて有害渦鞭毛藻Karenia mikimotoiの赤潮が発生した。本種の遺伝子は冬季から検出されていたものの,黒潮の離岸に伴う低水温や競合種の存在によって増殖が遅れ,8月中下旬に発生した急潮が,水温上昇,競合種の拡散,底層への栄養塩供給をもたらすことで増殖を促進した可能性がある。さらに,台風が西風によってプランクトンを宇和島湾奥部に集積させるとともに,日照時間を減少させたため,赤潮の発生に至ったと考えられる。