2001 年 67 巻 2 号 p. 226-230
中層トロール漁法では, 常に目標魚群に対して網位置を迅速に制御しなければならない。本論文では, 著者らが提案した中層トロールシステムの運動特性を求めるモデルに基づいて, 東京水産大学の練習船神鷹丸に装備されている中層トロール網を例とした網位置の制御シミュレーションを行った。ワープ長または船速を制御入力とした網位置の動態は海上実験で捉えた現象をよく再現した。シミュレーションの結果を実操業に応用する例として, あるワープ長と船速における網位置から, ワープ長と船速を調整することで, 探知された目標魚群の位置へ網をより迅速に制御する方法を示した。また, 探索曳網中の初期ワープ長による制御出力(水深および制御時間)への影響が小さいことも確かめられた。本論文に示したシミュレーションの結果を図表にして利用することによって, 大幅な操業効率の改善が期待できる。