2002 年 68 巻 2 号 p. 186-191
キジハタ幼魚を対象とした人工保護礁の素材と構造を検討するため,小型魚礁に対するキジハタ人工種苗の蝟集度の違いと食害防止効果を調べた。4種類の魚礁を用いた水槽内実験の結果,キジハタ幼魚は空隙の大きい構造の魚礁より小さめの空隙を有する構造の魚礁に多く蝟集した。この傾向は本種の天然幼魚の行動と合致し,捕食者からの逃避に有効であると推察された。カサゴによるキジハタ幼魚の捕食は魚礁の設置によって減少し,空隙の小さい魚礁は食害を防ぐ効果が大きかった。以上の結果から,キジハタ幼魚を対象とした保護礁は,幼魚が潜入できる程度の空隙を有する必要があると考えられた。