モノクローナル抗体(単抗体)法による魚卵同定の有効性を確認することを目的とし,マダイ卵を抗原として作製した単抗体(MT-1)を用いて,マダイの種内,類縁種間,および野外採集卵に対する反応性を調べた。MT-1は親魚の異なるマダイ卵に対し全て陽性反応を示し,類縁種のヘダイ,クロダイ,キダイに対しては陰性反応を示した。また,野外で採取したマダイを除く8種類の浮遊性魚卵に対し全て陰性反応を示し,マダイの産卵期を過ぎた7月に採取した浮遊性魚卵に対しては全て陰性反応を示した。以上,MT-1はマダイ卵に特異的に反応することを確認し,単抗体法は従来同定の困難であった浮遊性魚卵の同定に適用可能な技術であることを明らかにした。