貝類におけるリゾチームの生物学的意義を解明する一環として,部位の分別が可能な6種について,リゾチームの体内分布を検討した。活性はほとんどの部位に認められたが,いずれの種においても消化器官で強く,他の部位の約2-4倍以上の活性が検出された。ヤマトシジミの消化器官,ヒザラガイ消化管およびウチムラサキ中腸腺で活性が高く,特にヤマトシジミ消化器官での値はニワトリ卵白リゾチームに匹敵した。このことから,貝類リゾチームは主に消化器官に存在し,腸内細菌相の制御および生体防御の両者に深く関与していることが示唆された。