2006 年 21 巻 5 号 p. 446-452
症例は62歳,男性.全身倦怠感・黄疸で近医を受診し,びまん性膵腫大・主膵管狭細像・下部胆管狭窄があり,胆管狭窄を伴う自己免疫性膵炎(AIP)と診断された.胆管ステント留置後にプレドニゾロン内服を開始され,膵腫大・主膵管狭細像は軽快したが,下部胆管狭窄は改善しなかったため当科紹介受診となった.本院の内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)でも下部胆管狭窄は残存し,胆管内超音波検査(IDUS)では胆管壁が全体に肥厚し,ポジトロン断層撮影法(FDG-PET)・胆汁細胞診・狭窄部の生検では悪性所見は認めなかった.プレドニゾロンの再内服は希望されず,長期漸減の必要のないステロイド・ミニパルス療法を施行した.ミニパルス療法後のERCでは,下部胆管狭窄は改善し胆管ステントを抜去した.以後,維持療法としてプレドニゾロン内服を開始したが,肝・胆道系酵素上昇を認めず,プレドニゾロン漸減中である.ステロイド内服で軽快しなかったAIPに伴う胆管狭窄に対して,ステロイド・ミニパルス療法が有効であったので報告する.