2011 年 26 巻 2 号 p. 169-175
わが国の膵島移植は,いわゆる「エドモントンプロトコール」を用いて2004年から臨床実施され,主として心停止ドナーより提供された膵を用いた65回の膵島分離から,34回の移植が18症例に対して行われた.初回移植後1年,2年,3年時における膵島生着率(basal c-peptide levelが0.3ng/ml 以上を生着とした場合)はそれぞれ76.5%,47.1%,33.6%で,膵島生着中の血糖制御は良好であることが確認された.近年海外では,導入時にthymoglobulinおよびヒト型可溶性TNFαレセプター製剤を用いる免疫抑制法により,エドモントンプロトコールを凌駕するインスリン離脱率と,インスリン離脱期間の延長が報告されている.このような現状を受けて本邦でも,初回移植の導入時にthymoglobulinおよびヒト型可溶性TNFαレセプター製剤を用いる新しい免疫抑制プロトコールでの膵島移植実施を計画し,2011年より多施設共同臨床試験として開始する実施体制が整備された.