膵臓
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特集:膵臓・膵島移植の現況と最新の研究
移植早期膵島障害機序の解明と新規制御法開発
米良 利之小玉 正太安波 洋一
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2011 年 26 巻 2 号 p. 183-189

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抄録

2000年の臨床膵島移植成功例の報告以来,欧米を中心に移植症例数が増加している.膵島移植の適応は1型糖尿病であり,中でもインスリン治療で血糖管理が困難な症例が対象になる.現在までに1回の膵島移植でレシピエントの血糖安定化が得られ,HbA1cも正常化する事が判明している.しかしながら,移植後にインスリン治療より離脱するには2~3回,すなわち2~3人分のドナー膵臓が必要で,この事が臨床膵島移植で解決すべき最大の課題となっている.この問題は言い換えれば生着した移植膵島数(量)が不十分である事を反映しており,その解決策は如何にして十分量のドナー膵島を確保し,移植後のドナー膵島喪失を最小限にするかという点に集約される.本稿では後者の移植膵島障害,特に移植早期(24時間以内)に発現する膵島移植特有の自然免疫拒絶反応の機序,ならびに制御法について,我々が見出した知見について報告する.

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© 2011 日本膵臓学会
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