膵臓
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症例報告
ステロイド治療効果判定にMRI拡散強調画像が有用であった自己免疫性膵炎の1例
吉見 聡佐々木 民人芹川 正浩小林 賢惣神垣 充宏南 智之岡崎 彰仁行武 正伸石垣 尚志石井 康隆小酒 慶一毛利 輝生谷為 恵三有廣 光司茶山 一彰
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キーワード: 自己免疫性膵炎, MRI, DWI, ADC値
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2012 年 27 巻 4 号 p. 608-616

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抄録

症例は40歳代の男性.心窩部の違和感にて当院を受診し,血液検査で炎症反応と膵酵素の上昇を認めた.CTでは,膵尾部に限局した腫大を認め,平衡相で淡い造影効果を認めた.EUSで同病変は43×27mm大の低エコー腫瘤として描出され,MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号,拡散強調画像(DWI)で著明な高信号を呈した.ERCPでは膵尾部主膵管に約20mmの狭細像を認めた.EUS-FNAでは悪性所見は認めず,慢性炎症細胞浸潤を認めた.また,血清IgG4は432mg/dlと上昇を認めた.以上より膵尾部に限局した自己免疫性膵炎と診断しPSL 40mg/日より開始した.治療開始7日目のDWIでは膵尾部の高信号域の縮小および信号低下を認め,ADC値は1.05×10-3mm2/sから1.25×10-3mm2/sと改善を示した.治療開始2週間後には膵尾部の腫大,膵管の狭細像の改善を認めた.

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© 2012 日本膵臓学会
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