2018 年 33 巻 2 号 p. 94-100
画像診断の発展も相まって,膵臓の嚢胞性病変の検出数は増加している.嚢胞状の病変には,上皮に裏打ちされた嚢胞を形成する病変,内部が崩壊して嚢胞状を示す病変とその他があり,それぞれに腫瘍性病変と非腫瘍性病変がある.前者には,膵管の嚢胞状拡張性病変も含まれ,貯留嚢胞,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN),粘液嚢胞性腫瘍(MCN),漿液性嚢胞腫瘍(SCN),リンパ上皮性嚢胞などが,後者には充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)の他,転移性腫瘍も含め様々な充実性腫瘍があり,非腫瘍性病変としては仮性(偽)嚢胞がある.これらの嚢胞性病変には,非腫瘍性病変から悪性腫瘍まで,様々な性質の病変が含まれることからその見極めに注意が必要である.