2020 年 35 巻 4 号 p. 293-301
超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasound guided fine needle aspiration:EUS-FNA)の普及と発展により膵腫瘍の生検・細胞診を取り巻く状況は大きく変化している.膵管病変が主な対象疾患であった膵液・膵管擦過細胞診と比較し,EUS-FNA検体では膵管とは関連のない充実性疾患も対象となり診断の幅は広がった.しかしながら早期膵癌の診断や膵管病変の診断には膵液・膵管擦過細胞診がいまだ有用である.また,連続膵液細胞診等により診断精度の向上が試みられている.EUS-FNA検体では,膵液・膵管擦過細胞診では困難であった免疫組織化学や遺伝子検索がより簡便になり,良悪や組織型の鑑別の補助として有用である.しかしながら,その診断精度は採取量に大きく依存し,迅速細胞診等により検体不適正率の減少や採取量を向上させる工夫が必要であろう.