2024 年 39 巻 2 号 p. 172-182
症例は90歳,女性.右大腿骨骨折による入院時の腹部単純CTで膵腫大と膵管拡張を指摘された.造影CT,MRIにて膵頭体境界領域腹側に不均一に濃染される腫瘤を認めたが,体尾部はソーセージ様に腫大し,実質の均一な遅延性濃染像に加え,拡張部からの移行が平滑な主膵管狭細像とびまん性の分枝膵管拡張を認めた.血清IgG4値は757mg/dlであった.上部消化管内視鏡検査では,著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を伴った十二指腸乳頭の腫大に加え,十二指腸球部に浸潤・穿破した粘液を排出する瘻孔開口部のイクラ状隆起からの生検で高度異型を呈する乳頭状の胃型粘液性上皮を認め,間質に豊富なIgG4陽性形質細胞浸潤を伴って高度異型腺管が散在していた.以上より,浸潤性IPMCと診断したが,AIP併存の可能性が強く示唆された.癌性腹水が出現し初診8か月後死亡した.AIP合併浸潤性IPMCの報告はなく,貴重な症例と考えられた.