日本海水学会誌
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浸透圧発電の現状と今後の展望
眞壁 良上山 哲郎坂井 秀之谷岡 明彦
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2022 年 76 巻 3 号 p. 177-182

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抄録

浸透圧発電(PRO)は,塩分濃度差によって得られる浸透水を使用する再生可能エネルギーである.メガトンスケールの海水淡水化施設に濃縮海水と下水処理水を使用したPRO 設備を導入した場合,造水の消費電力を10 %削減する能力がある.機器の汎用化によって,発電コストは10.6 円/kWh と試算した.また海水と下水処理水を利用したPRO システムの実現が重要であり,このためには新たなPRO 膜モジュールの開発が必要となる.開発するPRO 膜モジュールのA 値・B 値は,2.05×10-6 m/s/MPa・5.5×10-9 m/s の性能が求められ,このPRO 膜モジュールを使用した発電コストは,22 円/kWh と試算した.優れたPRO 膜モジュールを開発することで,世界のエネルギー供給に大きな影響を与えると期待している.

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© 2022 日本海水学会
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